アイドルが好きだ。物心ついてから、ずっと私の生活の中にはアイドルがいる。嵐、アイドリッシュセブンのアイドルたち、SixTONES、シャイニーカラーズのアイドルたち。本腰を入れて追いかけていないうっすら好きなアイドルもそこそこいる。とにかくアイドルを名乗る人たちを見るのが好きだ、そう思ってきた。
最近超特急と出会って、新鮮なことばかりで毎日楽しいのだけど、彼らを知るほどだんだんアイドルというものがわからなくなってきた。わずかな範囲での話だが、私が見た限りでは超特急が「アイドル」を名乗っているのは見たことがない。ViViの動画でタクヤさんが「アイドルとして活動してきてどうですか」という趣旨の質問をされているのを見たけれど、本人はそれを特に否定しないまま、それでもやっぱりその言葉を使わなかった。他でも、アイドルとしてラベリングされたり認識されているのは見かけたけれど、本人たちがその言葉を使っている様子は今のところ見ていない。アイドルとして扱われること、括られることには抵抗しないけれど、自ら名乗るときには「アイドル」は選ばない人たちなのかな、と思う。
僕たちは、超特急です🚄💨
メインダンサー&バックボーカルグループの
メンズ[非]アイドル9人組🕺🎤
YouTubeチャンネル 超チューバー 説明欄より
私が幼い頃から好きな事務所はずっと日本のメンズアイドル市場を独占し続けてきている。いた、になりつつあるのかもしれない。そうだといいと思う。そちら側のファンとして、甘んじてその特権にあやかってきたことは否定できない。こういう偏りは、資本主義の世の中で避けられないものなのかもしれない。人脈とか、デカい看板とか、そういうものを完全に無くすことはやっぱりできないし、無くせばいいというものでもないだろう。それに、あの事務所の所属タレントの魅力や実力は嫌というほど知っている。大きな事務所だから、権力があるから、そのおかげで仕事が絶えないのだと断じる気にはならない。それでも、超特急のパフォーマンスや実績とは全く関係のないところで、出られなかった番組やもらえなかった仕事があったであろうことを思うと、勝手にしんどくなる。Mステに出ていてほしかったと身勝手に思う。そしたらもっとはやく出会えたかもしれなかった。たらればの話をしてもしょうがないんだけど、どうしても悔しいと思ってしまう。他にもそうやって露出の機会を失ったグループや、出会うきっかけを得られなかった観客がきっとたくさんいる。数年前の自分は、ボーイズグループがこんなにたくさんあることなんか全く知らなかった。自分にそこまでの責任も関係もないことも、言っても仕方ないことも、できることがそんなにたくさんはないことも頭ではわかっているのに、あの事務所のタレントや文化にキャッキャしている自分を思い出して居心地の悪い気持ちになったりする。そういう自分の傲慢さにいちばん嫌気がさしている。
アイドル、という言葉はすごくいろんな要素を内包していて、何にでもなれて、どんな仕事でもできて、色とりどりの道がある……と私は思っている。そうであってほしい。ボーカリストでもダンサーでもパフォーマーでもアクターでもなくて、同時にそのどれでもあるのがアイドルだと思って生きてきた。そういう決まりきってないところや、観客や本人に委ねる余地があるところが好きだ。それは揺るがないし、この先もずっとそうだと思う。
あえて趣のない言い方をすると、便利な言葉だと思う。便利すぎる言葉だ。アイドルになりたい、とかアイドルが好き、とかいうとき、私たちは自分の思い描く定義でアイドルという言葉を使う。明確な定義はどこにもない。それは果てしない夢でもあり、逃げでもある。私はそう思っているから、いろんな要素を含んだまま相手に解釈を渡すことのできる「アイドル」という言葉を「選ばない」超特急に、覚悟やプライドを感じる。
タカシさん:いろんなグループがいたっていうのもあって、当時。超特急は超特急で色を出そう、差別化をしようということでこういう丸い非アイドルという……僕たちはアイドルじゃないですよっていうシールを当時貼って差別化を図ってたんです
中西さん:アイドルという括りではないんですか、超特急
ユーキさん:そうですね……アイドルというよりかはメインダンサー&バックボーカルグループっていう史上初グループだったんで
中西さん:なるほど、他にはないぞという感じで
第197回 超特急大辞典で撮れ高足りてますか?前編より
このトレタリを見て、超特急のカッコよさの源泉を目の当たりにした気がした。惚れ惚れした。非アイドルとして、メインダンサー&バックボーカルグループとしての道をプライドを持って選び続けてきたから今の超特急があるのだと思った。
私の隙間だらけの辞書に照らし合わせるとき、超特急はアイドルになる。私の生活を彩る、遠い存在。音楽で、踊りで、お顔で、声やお話で、私の感情を揺さぶってくれる存在。彼らの轍を、行く先を追いかけて見ていたいと思う存在。それは私とってはアイドルで、それ以外の呼び方を知らない。これは私の中の問題で、私だけの言葉選びだ。
同時に、きっと人に話すときはアイドルという言葉を選ばないと思う。最近出会った、メインダンサー&バックボーカルグループだと言うだろう。アイドルじゃないの?と聞かれたら、アイドルという言葉を使わずに人を笑顔にする道を探してきた人たちなんだと思ってる、と話すだろう。彼らが非アイドルを選んできた過程のすべてを知ることは絶対にできなくて、私の好きなように、都合のいいように解釈することしかできない。だから、彼らが選んできたものを踏みにじるようなことだけはしたくないなと思う。アイドル、と一括りにして喋りたい気持ちも正直あるし、そういう雑な言葉選びをしてしまうときもきっとあるけれど、そうしたくない気持ちの方を大事にしたい。そういう心構えで、非アイドルを選び続けた彼らがMステに出るのを見たい。東京ドームに立つのを見たい。いきいきと輝くあのペンライトの中にいたい。そう思っている。
もっとはやく出会いたかった、と思うのも本当だけど、今、出会えてよかった、と思うのも本当だ。超特急が走り続けてくれたから今出会えたんだと思うと、胸がいっぱいになる。
さっき書いたようなことで勝手にアウェイを感じて何となく軽くブレーキを踏みながら超特急のことを見ていたところもあったんだけど、新譜が良すぎて躊躇いがどこかに飛んでいってしまった。
ああやっとさー、やっとさー、
やっとやっとー、
やっとさー、やっとさー、
やっとやっとやっとさー、
誰も彼も集まれ
とにもかくにも騒げ
ようやく来た俺のターン
このあとの「ずっと待ってばっかよりJoin」もめちゃくちゃ好きだ。腐らずに笑って、待ってばっかじゃなくてJoinする超特急が好きだし、そういう風に私も生きたい。和泉三月くんだって「オレの人生、面白くすんのはオレしかいねーじゃん?」って言ってるし。好きな人たちの力を借りつつ、私は私の人生を盛り上げていきたいなと思っている。