※「ESCORT」の曲バレ・演出バレがたくさん含まれます!未乗車の方はぜひ乗車後に読んでください※
超特急は今ツアー初日の6/10、CDデビュー14周年を迎えた。私が超特急を好きになってから、今年の8月でまる2年。私は超特急のいわゆる新規オタクで、超特急のほとんどの歴史を知らない。知ることができない。そういう立場にいる。
好きになったばかりの頃は、とにかくライブが楽しいからライブに通いたい、と思っていた。それさえあれば十分で、別に過去を知りたいわけじゃない。今の超特急が私にとってはすべてなのだと思っていた。あるいは言い聞かせていたのかもしれない。私はそれまでメンバーが変動する/したことのあるグループを好きになったことがなくて、同じメンバーでやっていくことにこだわる人たちばかりを追いかけてきたという自覚がある。だから、歴史の長さ以上に、超特急の形の推移に怯んだ自分はたしかにいたと、そう思う。
転機はJokerに行ったこと、そしてRe-Boosterとの出会いだった。まず、曲が好き。刺さった。パフォーマンスもめちゃくちゃ良くて、1桁の凛とした佇まいと、ギラギラした2桁の目と、合流したあとの9人の覇気がたまらなかった。2桁が加入する前の曲であることを隠すでも誤魔化すでもなく、9人で魅せる曲に生まれ変わらせている姿を見て、完敗だ、と思った。怯んでいる場合ではない。遡ったらこんな名曲がまだまだ隠れているのかもしれない。過去の超特急のパフォーマンスも知りたい、知ったうえで今の超特急を見たい。そう思うようになった。
まずは超特急募目当てで入手していたProgress、それからGOLDEN EPOCHのたまアリとFantasy Love Train。各時代ひとつずつ、と思ってのラインナップだったと記憶している。詳細な記憶は正直残っていないのだが、とにかくどれもすごかった。
Progressは気合いと愛の、未来のためのライブで、5人の清々しい顔ばかりが脳裏に焼き付いた。凝った演出、というよりは、歌とダンス、超特急ならではのパフォーマンスでの勝負。見慣れている今の体制と比べたら随分少ないんだけど、それでもその形になっても、超特急を完成させてきたのだという誇りを、超特急を走らせ続けてきたというプライドを、ビシバシ感じた。
ゴルエポの冒頭演出には度肝を抜かれたし、それに応える歓声の大きさにもびっくりした。セトリの組み方も、ライブの魅せ方も、思っていたよりずっと変わっていなかった。そして、ユースケさんの眩しさに目を奪われた。好きにならざるを得ない人、姿を見るとつられて笑顔になってしまう人。元気担当は伊達ではない。
FLTは10年以上前のライブだし、当時の超特急はまだ結成から5年と経っていない若いグループだ。ユーキさんが本格的に演出をし始める前だと聞いていたのもあって、観るまではかなり舐めてかかっていた、と思う。でも、これもすごかった。超特急がステージに立ち続けた積み重ねを目の当たりにした気がした。コーイチさんという、とんでもないボーカリストに腰を抜かしていたせいで、あまり細かい記憶は残っていない。
そんな中でも、思っていたより知っている曲が多かった、というのは印象深い。というか、むしろ最近のはずのProgressの方が当時の私が知らない曲が多くて、5人になってあまりやらなくなった曲や、9人になった今歌えるようになった過去の曲があることの重みを、垣間見た。
7人の超特急の魅力を知ってしまって、しばらくは混乱する時期が続いた。9人の超特急が好きなくせに、7人の超特急がドームに立てなかったことが飲み込めなかった。変な話だってわかってるんだけど。どうやったら夢は叶ったのだろう。たらればをいくつ重ねても打開策はひとつも見つからず、ただただ、この展開でなければ9人の超特急は有り得なかった、という現実にたどり着くだけだった。
混乱の中、ユーキさんの写真集と、フォト&ワードブックが発売された。「THE GROWN」はお渡し会で一足先に受け取れたので、3月初旬にはかなり読み込むことができていた、と思う。草村に萌えるのと、スタダコードの力が及ばなかったページを薄目で眺めては動悸を抑えるので忙しかった。良い写真集なので、ぜひ皆さんも読んでください。問題はフォト&ワードブック「RE GROWTH」の方だ。豪華版と銘打たれたそれはとんでもなく重く、分厚く、それぞれのページに小さな文字でびっしりと文字が印刷されており、それ相応の値段がするものだった。諸々にビビりながら注文したそれは3月下旬に届き、そして私の混乱を鎮めた。
言葉を尽くして説明がなされている、というものではなかったけれど、リグロにはユーキさんの覚悟と、選んできたもの、選ばなかったものが重く刻まれていた。この人の見せてくれるものに間違いはないと、ついていけばいいのだと確信することができた。ユーキさんの中には超特急のすべてがあると思った。5推しでいるということは、超特急のすべてを愛することなのだと(非常に勝手に)思ったし、ユーキさんは私が触れるのを躊躇った過去を私から遠いままにしておく気はないのだと思った。上手く説明できないけれど、このとき、私はかなり、大丈夫になった。だからこそ「THE END FOR BEGINNING」を買う覚悟を決めた。買うなら今しかないと思った。
勢いで注文したはいいけど、届くのは4月になってから。一応新社会人となるタイミングだったので全然見る時間が確保できず、VS.超特急の前に鑑賞会をしようと連番するリア友を誘って無理やり時間を捻出した。いつも巻き込んでごめん。土日の間に2回のイベントと合わせて3枚分のライブを見て、さすがに脳疲労でおかしくなるかと思った。しかもVS.超特急のDay1はアレだったし。疲れました。そのあとすぐに徳島でのお渡し会があってバタバタしていたこともあり、全然感想を整理できないまま今に至るのだが、それでもあのライブの鮮烈さはなお褪せることなく、私の中に今も居座っている。
このツアーのすごいところは山ほどあるのだが、シンプルにライブツアーとしての強度が並外れている。4都市5公演中、3公演が丸ごと映像化しており、そのすべてのセットリストが違うツアー。セットリストが違うというか、それぞれがかなり別物のライブである。レボビバもツアー内でガラッと演出とセトリが変わるし、Synchronismもそもそも2パターンあるし、超特急のツアーでセトリがまるっきり変わること自体はそこまで珍しくないと思う。ただ、3パターン、同じくらいの完成度のものを持ってくるというのは、とんでもない気合いなんじゃないかと思った。7人最後のツアーだから?と当初は思ったけれど、それを知っていたのはコーイチさんだけのはずで、じゃあ何がどうなったらこんなツアーができてしまうのだろう。3枚目を見終わったあと、しばらく呆然とした。
THE END FOR BEGINNING、何度でも驚かされるタイトルだ。たぶんこれは楽曲「The End For Beginning」が由来で、この曲の作詞はコーイチさんで、つまりこのタイトルも彼が考えたものではないかと思う。そして私には、これを書いた人が超特急を愛していないとはどうしても思えない。陳腐な言葉しか出てこないけれど、本当に名曲なのだ。しかも、隅から隅まで超特急のことが歌われている曲。何度聴いても心臓がドクドク動いているのを感じる。頭がぐらぐらしているのに、目も耳も冴えて、意識を離すことが許されない。心の柔い部分を削ってつくられた曲なんじゃないかと、そうでなければこんな風に心を揺さぶられることはないんじゃないかと、何度も何度も思う。事実はどうあれ、そう思いたくなってしまうこと自体がこの曲の引力の強さを物語っている。
この曲の作詞者はコーイチさんで、振付はユーキさんが行っている。二人とも、ベクトルは違うけどたぶん言葉が不器用で、歌が、踊りが、ないと生きていけない人。10年後に私がインターネットをウロウロするだけでも、お互いのパフォーマンスを信頼していたことがわかってしまうぐらい、通じ合えて共鳴できる部分があったふたり。コーイチさんが書いた曲から、ユーキさんは言葉以上のものを受け取ったのではないかと邪推する。この曲を引っ提げるに値するツアーを、その根を知らずに完成させてしまった、それがTHE END FOR BEGGING。というのが私の、勝手な解釈です。
脱線が長くなってしまった。とにかく私は、リアルタイムで追うことの代わりにはならないとわかっていながら、好奇心を止められずにここまで過去を漁ってきた。円盤を観て、パンフレットを読んで、MVを見て、夢8動画を見て、スタチャンを見て、音楽ナタリーの記事を読んで、Signalを読み、REC.を眺め、Virgin Expressに八つ裂きにされ……かなり時間を割いてきた。バックステージ系は手付かずのものが大半だし、夢8とスタチャンも正直あんまり見れていない。映像、苦手だから……。その割に、ワンマンステージの上の超特急は、けっこう観たなと思う。あまりに膨大で、記憶が薄れているものも多いけど、自分の観たいものを観たいように観てきたつもりだ。
ところで、私は文章を書くのが好きなオタクだ。近年は特に、意識的になんでも書くようにしていて、インプットしたものの7割くらいは何らかの形で文章として残しているつもりなのだが、過去の超特急についてはその作業を避けてきた。意図的に、というほどでもないけれど、何となく気が引けた。掘り返すとか漁るとかがしっくりくるような、無遠慮な作業だと思ってやっていたから、自然と言葉数が減った。同時に、私はこんなに過去を見ているんです!というアピールのための作業にしたくなかった。過去を知っているという驕りを持ちたくないとも思っていた。
今になって、それを翻してこれを書いているのは、ESCORTがまさに私たちを超特急の過去に誘うツアーだったからだ。これまでもそういう要素は随所にあったと思うけど、ここまであからさまではなかったし、ここまで中心に据えられてもいなかった気がする。ESCORTは、今の8号車全員を、超特急の過去に触れさせること自体がメインテーマのツアーだと思う。
まず、昔の曲がめちゃくちゃ多かった。新たに披露されたのが12曲。前回のREAL?は、日替わりアンコールをカウントして7曲だったことを思うと、相当多いといえるだろう。しかも現体制以降の曲は半分以下で、2022年8月以前の曲の割合がすごく高かった。EVEでも、昔の曲の割合が高くて、初披露のRe-ver.もめちゃくちゃ多かったので、これ自体は初めてではない。ユーキさんも「全曲蘇らせたい」とはっきり言っていたし、せっかく素晴らしい持ち曲がたくさんあるのだから活用しない手はないよね。だけど、今回明確に違ったのは、"これまでの超特急"を連想させる演出がちりばめられていたこと。REAL?でのJokerの再演に近いことを、ずーーっとやっているのがESCORTだった。
ハルくんのソロパフォーマンスのあとの「POKER FACE」、「Spice」で、Jokerだなと思った。「fanfare」で旗が出てきて、Sweetest Battlefieldを連想した。「超ネバギバDANCE」では新世界を思い出したし、「激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームわ〜るど」ではB9を思い出した。「Te quiero mucho」はDANCE DANCE DANCEだし、「凱歌」「Never Mine」はSuperstarを連想した。「Jasper」はやらないのかよと思った。途中の映像の空飛ぶ電車はFantasy Love Trainだし、リョウガさんのピアノ演奏はGOLDEN EPOCHだ。他にもいろいろあるし、私が気が付かなかったところもあるだろうし、人によって連想する景色は違うと思うけれど、とにかくこれまでの超特急のツアーを全部詰め込んだような密度のライブで、コールが多いわけではないのにめちゃくちゃ体力を持っていかれる時間だった。
最近の定石を意識的に選ばなかったツアーでもあると思う。リリースからほぼ皆勤だった「ジュブナイラー」、採用率の高いツアーテーマ曲なのに入っていない「Countdown」。「Burn!」も「走れ!!!!超特急」も入っていない。コール定番曲がかなり少なくて、超えアバ*1もSAY NOもバッタマンもシーエクもない。そのポジションに「BREAK OFF」や「HOPE STEP JUMP」「OVER DRIVE」が突っ込まれているような印象があった。こういう曲もあるんだよと教えてくれているような、そんな気がした。
これまでの超特急を煮詰めたツアーであることを感じ取った人の中で、置いていかれたような気持ちになっている人もいるかもしれない。ただ、これは昔からの8号車のためだけのツアーでは絶対にない。もちろんそういう側面もある。特に「ライオンライフ」については、知らない人の知らない曲として受け取った人と、そうでない人の間に違いがあることは否めない。でも、それで何となく面白くない気持ちになっている人には、少し考え直してほしいと思っている。今、新しいファンが増えている中で、わざわざこれをやる理由なんてひとつしかない。今いる8号車全員に、超特急のことを知ってもらいたいからだ。揃えられるところまで足並みを揃えて、東京ドームに一緒に行きたいからだ。ドームで、古参だけが沸く曲を、1つでも減らしたいと思っているからだ。違いますか?昔からの8号車のことしか考えていないなんてことはない。むしろ、新規の、この曲知らないなと思ったあなたに向けて、よろしくねと過去を差し出してくれているツアーだ。だからこそ、全員に楽しんでほしい。古い曲が多いことを、ポジティブに受け取ってほしいと思う。というか、背景情報がなくてもめちゃくちゃ楽しいツアーだから、余計なことに気を取られてしまうのはもったいない。素直に受け取ってほしいと思うのも、エゴだと思うけど。
冒頭でも書いた通り、私は新規だし、昔の超特急のことは知らない。知りたいと思ってきたけれど、掘れば掘るほど届かなくなるような気がしてきた。だから、ESCORTが本当に嬉しかったのだ。過去を知ろうとする私のことを受け入れてもらえたような気がした。昔の曲を愛する気持ちを、歓迎されていると思った。同じように知ることはできなくても、私も過去に触れていいのだと思った。私の欲望や好奇心が許されていると感じた。RE GROWTHを読んだときの確信は正しかった。ユーキさんは、本当に等しく私たちを歓迎している。東京ドームに足を運ぶ全員を、祝福する準備を着々と進めてくれているのだ。
私は、超特急が好きだ。7人の超特急の、がむしゃらで青くて、それぞれのプライドや葛藤が一緒くたに燃えているようなステージが好き。6人の超特急の、ひたむきで眩しくて、無邪気なステージが好き。5人の超特急の、お互いに向けられた優しい視線と、言葉の外で支え合うようなステージが好き。9人の超特急の、すこんと晴れた空のように瑞々しい、幸福で全力なステージが、好きだ。どの時代も、好きになってしまった。だって、めっちゃいいライブしかしてないんだよ、超特急って。ユーキさんが選んで立ち続けた場所が超特急だから、それを愛することを許されたいと思う。思ってたんだなって、ESCORTに乗車してはじめて気がついた。許されなくても辞められないけど、嫌がられたいわけじゃないから。ありがとう、私を超特急に誘ってくれて。今の超特急を通じて、いろんな思い出を見せてくれて、ありがとう。ESCORT、1人でも多くの人が、超特急との楽しい思い出を持ち帰ってくれるツアーになるといいなと、至極勝手に祈っている。
Gracias! 同じ時代に生まれ
笑顔と涙をともにして
感謝感激って思うよ マジで
Te quiero mucho / 超特急
*1:2日目アンコールではやりました


